【読書感想】本当に役立つ栄養学/佐藤成美

読書感想
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★書籍データ★
タイトル:本当に役立つ栄養学 肥満、病気、老化予防のカギとなる食べものの科学
作者:佐藤成美
出版社:講談社(ブルーバックス)
読了日:2023.10.22

本当に役立つ栄養学

内容紹介はこちら。

「食物繊維は体にいいから消化もいい」と語っている学生に、そもそも消化ができないものを食物繊維ということを説明すると、では「消化できないものが体に必要なのか」ときかれて、これは正しい食の知識が必要だと感じた著者。
体にいい、悪いで語られがちな食べものについて、多くの人がわかっているようでわかっていないという実態を感じて、現在わかっている食の科学を理解し、正しい情報の受け取り方ができるようにという思いで執筆した1冊。栄養学的な面と、複雑な体の代謝のしくみをなるべくやさしい言葉で解説します。
食品によっては、時代的背景も関係していたり、健康ブームの空気にのって「良い食べもの」になっているものも。食と代謝はまだまだ解明されていないことも多いのですが、わかっていることをクリアにしながら、誤った認識に陥らない方向を示します。

講談社BOOK倶楽部ホームページより

★感想★
私はアトピー体質であること、また自己免疫疾患の持病があることから
食事含め、身体に取り込むものは気を付けるようにしています。

口コミでいいと言われるものは試したくなるものの、ネット上には様々な視点からの情報があふれており、正しい情報を取り入れるのも難しい時代だと思っています。

そんな中、ブルーバックスから栄養学にスポットを当てた本著が出ていたので読んでみました。
※ブルーバックスとは:「科学をあなたのポケットに」をキャッチコピーに、一般読者にも専門的な内容を分かりやすく解説している自然科学・科学技術の新書シリーズです。

本著の作者は東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了(農学博士)の佐藤成美さん。

人間の身体の中で起きている様々な化学反応の名称から、その構造、どのように役に立っているのかといったことが理論的に説明されています。
とても専門的な内容も含みますが、素人でもわかりやすいように書かれています。

これまではなんとなく「人間には五大栄養素(炭水化物・脂質・タンパク質・ビタミン・ミネラル)が大事なんだよな」という曖昧な知識しかなかったものが、本著ではそれぞれの栄養素が体内でどういった化学反応を経て、どういった働きをするのかを分かりやすく解説してくれています。

たとえばよく聞くダイエット方法に「野菜を先に食べる」というものがあると思います。
なんとなく血糖値が上昇しにくくなるから、というイメージはありますが、なぜかというのはあまり気にしたことがないのではないでしょうか?
本著の中では以下のように解説されています。

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糖尿病の予防や対策では、野菜を先に食べることがすすめられています。血糖値の上昇が抑えられるのは、野菜に含まれる食物繊維が消化されにくいためです。
とくに水溶性食物繊維は、消化管内で粘性が増すことで胃の中に滞留する時間が長くなります。さらに胃の中の食べものを庁へと移動させる速度が遅くなります。また、腸の中でも長くとどまるので、その結果、糖質の消化や吸収が緩やかになり、血糖値の上昇を抑えるのです。
(作中より一部抜粋)
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他にも”有酸素運動で脂肪は燃えるのか”といった脂質の代謝についてや、”糖質制限ダイエットの効果とリスク”、”健康的な血液とはなにか”、”なぜ脳には糖が必要なのか”といった、よく耳にするトピックの科学的な根拠が記載されており、「そういうことだったのか」という発見の連続はもちろんのこと、自分の食べたものが自分の体内でこんなにも複雑で多岐にわたる働きをしているのだと思うと、人体の神秘に感動を覚えるとともに自分を大切にしようという感情も湧いてきました。

人間は自分が食べたもので構成されます。
健康や食事に気を付けたい人、普段口にしているものや食事方法にどういったメリット・デメリットがあるのかを知りたい人にはとてもおすすめな書籍だと思いました。

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