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★書籍データ★
タイトル:本日は、お日柄もよく
作者:原田マハ
出版社:徳間文庫
出版日:2013.6.7
読了日:2024.4.20
★あらすじ★
お気楽なOL、二ノ宮こと葉は、密かに片思いしていた幼なじみ・今川厚志の結婚披露宴で、すばらしいスピーチに出会い、思わず感動、涙する。伝説のスピーチライター・久遠久美の祝辞だった。衝撃を受けたこと葉は、久美に弟子入り、「言葉」の修行を始める。成長したこと葉は、父の遺志を継いで初めて衆議院選に立つ、厚志の選挙を手伝うことになるが……!? 人と人とを結び合う言葉の限りない可能性をハートフルに描いた青春小説。
徳間書店HPより
★感想★
こちらは「泣けるお仕事小説!」というポップを書店で見かけるたびに気になっていました。
原田マハ先生の作品は「楽園のカンヴァス」で初めての読書体験で、こちらがとてもよかったので他の作品も気になり、いざ購入。
個人的にスピーチライターという職業に馴染みがなく、なんとなく”大企業のCMや広告を作る人かな?”くらいのイメージでした。
本作では主人公が親友の結婚式でのスピーチを任せられたことをきっかけに、スピーチライターという仕事に出会い物語が動きだします。そして後半では幼馴染で初恋の相手が立候補する選挙戦でのスピーチ草案を任せられ、様々な人間関係に巻き込まれ悩みながらも成長していくというストーリー。
一番最初に強く思ったのは「親友の結婚式でのスピーチをする前に本作に出会いたかった、、」です。
伝説のスピーチライター久遠久美に主人公、二ノ宮こと葉が弟子入りする形で物語が進んでいきますが
その中で具体的なスピーチのテクニックも語られており、純粋に勉強になる点も多くありました。
冒頭に出てくる「スピーチの極意 十箇条」はもちろんのこと、例えば「フレーズの冒頭に”えー”とか”あー”とか付けるのは、しゃべるのに自信がない証拠」であったり、スピーチの原稿を始めるときやスピーチを始めるときは、まず心を平静にして、”このスピーチの目指すところはどこにあるのか”を思い浮かべる」、そして「檀上に上がったら、会場が静かになるまで五秒待つ」といったところまで。
自分が友人の結婚式でスピーチをしたときは何一つできていなかったなという反省とともに、本作に出会えたことに感謝しました。
後半は政権交代を目指して選挙活動をメインに物語が進んでいきますが(もちろん政党の名前などはフィクションとなっているのですが)、いち有権者としての政治に対しての向き合い方も、考えさせられる内容だと思います。
作中には主人公の師匠たる久遠久美ほか、複数の登場人物によるいくつもの素晴らしいスピーチが登場します。結婚披露宴での大切な人に向けたスピーチ、長きに渡って自分を支えてくれた仕事仲間への弔辞、政権交代を賭けた有権者に向けた演説――。そのどれもが誰かを想ってつくられた、胸を打つ内容となっています。
「スピーチで世界を変える」という言葉が作中に出てきますが、スピーチ場面を読みながら実際に心をグッと動かされている自分がいて、”この気持ちの集合体が本当に世界を変えるんだよな”と、読書を通じて実際にその感覚を味わえるところも本作の素晴らしさなのだと感じました。
言葉の強さ、可能性、素晴らしさを感じたい方、今の世の中に対して何か淀みのようなものを感じている方はぜひ本作を読んでみてほしいです。
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